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「草暦の十三ヶ月 十月 獣祀る 豺の森 いずこ」

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草暦 十月

「 獣祀る 豺の森 いずこ 」



いよいよ2021草暦もクライマックスです。
、、というのは、後半に盛り込んでる想いがずっしりありまして,,,

草暦は2005年から季節ごとの野の草や、素材としての草たちの事情に沿って、植物を中心の七十二候を長年書き記してきましたが、
その間も七十二候の中に登場する動物たちのことが常に気になっていました。

「つばめ至る」「雁かえる」などの言葉を書くときには、
どうしても、その過酷な旅に想いを寄せ、祈りつつ書き込みます。

中でも12月には
「熊 穴に入る(こもる)」

毎年これを記す度に、果たして今のこの国に熊が安心して篭る穴などあるのだろうか、という杞憂を重ねていました。

山の環境と共に、森の崩壊により、冬越しのための木の実などが足りず、お腹をすかせ冬眠も出来ないまま、冬のあいだ里に降りて食糧調達、
ゆえに撃たれ、命を終えていくという現実を知りつつ、なにも出来ていない自分の不甲斐なさに、12月には、毎年熊への祈りを描き続けてきました。

そのうちに私は馬と出会うこととなります。

絶滅を危惧される宮古馬の育成サポートの活動をしていくうちに、草暦もしだいに草から動物よりとなってきました。

そのようなことから、草暦を一緒につくってるのりちゃん(こと石田紀佳)が、七十二候の言葉を動物を表現するものを探してくれるようになってきました。

かわうそ魚を祭る(獺祭)(2/18)

かっこう桑におりる (4/30)

など、それまでにない言葉が増えて、草暦に動物たちが踊るようになります。



そうしてこんどは馬の次にオオカミと結びを得ることとなり、
2021年の草暦は表紙はオオカミ、
本体のなかでは10月にオオカミが登場します。

「獣祀る 豺の森 いずこ」

というのは、
七十二候の

「豺 獣を祀る」(10/23)

を受けて、想いをいたしたことば。

オオカミが仕留めた獣たちを並べているのを、祀りとみたてたもので、二十四節気、霜降の頃にあたります。
冬に向けてオオカミの狩りが力強くなっていくときでもあるでしょう。

そんなオオカミも、もはや姿を現さない存在となりました。

いまでは幻となってしまった、かつてのオオカミの祝祭、
獣を祀っていたであろう森に想いを馳せ、
10月にこの言葉を綴りました。

植物や動物たちが彩ってくれていた草暦も
今年で最終となりましたが、
2021年の草暦は、いよいよこれからが本番、
後半には、野生の生きもの達への滾(たぎ)る祈りをぎゅー、っと込めました。
10月、11月、12月、2022の旧正月までの4枚には、溢れて止まない想いを、
気持ちを抑えて静かに納めてみたつもりです。
動物たちには、あえて抑えないとはみ出してしまうほどの想いがあるので、、

あと少しの枚数の2021年草暦、
後半もどうぞ味わってくださいね。

xusa
矢谷左知子
  1. 2021/10/29(金) 11:05:07|
  2. 草暦

草暦 これにておしまい その1

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xusaです。

長きに渡り、草暦をご愛顧くださりありがとうございました。
先にmusiさんが書いたように、草暦は終了することとなりました。

かれこれ十数年続けてきた草暦、近年のものは、楮和紙で印刷してくださるところが見つかり、ようやく完成形となったところですが、
それを印刷してくださっていた方が引退されることになり、他の印刷所ではもうあのテイストのものは続けられなく、
今年だけいったんお休みして、次のかたちを探ってまた再開、とも思いましたが、
そもそもの端緒をつけてくれた相棒の石田のりちゃんが、これでおしまいにしよう、と言うことになり、
私もそうだね、と。
最後は実にすぱん、と幕引きとなりました。

今年もたのしみにしてくださっていたとしたら、ほんとうに申し訳ありません。

2021年は、ついにオオカミがやってきました。
私の中で今年はオオカミイヤーなのです。

長い草との信頼関係からはじまった草暦ですが、
私のなかに、それに加えて、海がやってきて、すっかり海に心身溶け込み、或る年は海暦となり、
その上にこんどは馬がやってきて、これはもう、不二であり、同一体でもある存在になり、馬が暦に登場、
いや、自分が一番びっくりしてるのです。

そして、去年、2020年に今度はオオカミが降りてきました。
2021年版の原稿を描いている間じゅう、オオカミが伴走をしてくれていたのです。
今年、表紙はついにオオカミとなりました。

原稿が仕上がった時、ある意味、ここが草暦の来し方の頂点、と漠然と想いました。

これから先は未知の領域、と。

そこにオオカミが寄り添って、その先の灯明を授けてくれているのだな、と。

ですので、そのあとに、印刷所からもう出来ない、というお話を聞いた時には、残念ではありましたが、
一方で、実にきれいな流れのように感じることが出来ました。

それもあって、草暦はここに終わります。

これまでの草暦の経緯のことも、このあと、少しずつまとめてここに書かせていただきたいと想っていますので、またお訪ねくださればうれしいです。

あ、最後になりましたが、
2021年版は、ひどいミスをしてしまいました。
暦にあるまじき、不正確さ
ご迷惑をおかけいたし、ほんとうにほんとうに申し訳ありませんでした。
重ねてお詫びいたします。

そしてありがとうございました。

いつも全面的にバックアップしてくれていた石田のりちゃんにも感謝いたします。


つづく

xusa
矢谷左知子
  1. 2021/10/03(日) 14:31:23|
  2. 草暦