草虫こよみ xusa musi coyomi

:::::::::::::::くさ むし そら うみ つち ひかり

風景をつくったひと

秦野のおじさんが亡くなった。享年95歳。

88歳のおばさんがずっとおじさんのことを話してくれた。一度もけんかをしなかったって。わたしにはおじさんがときどきおばさんにどなっているように感じたこともあったけど、そんなのけんかじゃなかったんだね。
そして「おじさんはもてたんだよー、つきあってた人もいたらしいんだけど、お茶を飲んでくれたからねえ」なんて自慢して、お見合いから初夜の話もしてくれた。
昔はお茶を女性が出して、それを飲んだら「オッケーってことだっただよ」。
世間的には長寿を全う、夫婦を添い遂げたというのだろうけど、別れはさみしく「まだ帰ってくるような気がする」って。

今年は猛暑、日照りに不作なし、の言葉どおり、秦野あたりはイモチ病も出ず、このままいけば豊作だろう。去年が最後の田んぼで、今年はせずにおじさんはいってしまった。おじさんが仕分けしてくれた里芋は葉をゆさゆささせている。
主のいなくなった雑木林は天然にもどろうとしている。畑の草も伸び放題。おじさんがいて、存在した里山の風景。
確実にかわるんだ。何かが私の中でもかわりそう。おじさんにあえて、幸せでした。musi


稲刈りおじさん
4年前。稲刈りを一人でするおじさん。


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musiが季節の野菜をつくっている雑草園には、たんぼ、草の調達や味噌つくり、ワークショップ、暦会議
なにかとお世話になっている。
いつもばたばたとんぼ帰りで、ご近所のおじさん、おばさんには触れ合う機会のないまま。
でも雑草園に行きつくまでの両側の田園風景を作り出してきた方たち。
その場に居続けて何十年、歳月でしか造り出せない景色は尊かった。
今この国だけでなく、世界中で、こうした小規模の、生産のために手入れを続けた結果つくり出された
誠実で地道な、自然との調和のとれた風景が失われている。
次の世代の私たちはもはやこの景色をつくる日々にはいない。
確実に変わって行くんだね。  xusa




  1. 2010/08/07(土) 21:59:16|
  2. 自然環境