「馬暦」のご案内草暦をご愛顧いただきありがとうございました。
2005年から2021年まで作り続けてきた草暦、
先にも書きましたように、今年で終了となりました。
この10年近く、草暦の紙と印刷でお世話になっていたわがみ堂さんが引退され、ご自分の研究に打ち込まれることとなり、草暦はあの質感なしでは成り立たないものとなっていたので、相棒の石田紀佳と悩みましたが、案外あっさりと、やめようか、という結論になりました。
ふたりとも、ともすれば潔すぎる性格でもあり、突然の成り行きでしたが、草暦は2021年、今年で終わることとなりました。
例年、9月は、草暦の原稿描きで、お篭りの集中月間でしたが、そのようなわけで、今年、久しぶりにそれがない9月を過ごしました。
が、そうか、宮古馬のカレンダーを作るのは今だ、と、思い立ち、10月に入ってから巻き巻きに巻いて、急きょ馬暦の原稿描きに入りました。
私はこの数年、沖縄の宮古島の在来馬、宮古馬の保護育成のサポートをし、webページも立ち上げたりいろいろ動いています。
→
ミャークヌーマ宮古馬の会そのためこの度2022年は、草暦ではなく、「馬暦」に。
突如の出来事でもあり、自然の流れでもありました。
いつも遊んでもらっている馬たち一頭一頭を絵に描きました。
救いたくて救えなかった、命を落としていった馬たちも描きました。
描いている間、いとおしく、泣きながら、心を重ねて描きました。
今回は急ぎでもあり、ふつうの印刷屋さんの一般的な紙のもので、チャリティでもあるため、あの草暦の醸造された感はまったくないのですが、そこはかとなく草暦の面影も残っています。
草暦特有の日程の縦進行は、縦のプロポーションにしたいけれど日程の部分をどうするか悩んでいる時、石田のりちゃんがあっさり、縦でいいんじゃない?と、目から鱗発言、
そこからおなじみの縦進行が始まったのです。
それは草暦ならではのものでもあり、封印することとし、
今回は一般的な横進行になっています。
また、収益の一部を、宮古馬の育成のサポートに寄付させていただくこととしたため、よりわかりやすい形にしてみました。
とはいえ、やはり一般的とはいえないのか?
どうなのでしょうか。。笑
初めての印刷屋さんで、どのように上がってくるのか、物が届くまでドキドキでしたが、ついに仕上がってきました。
草暦のあの質感はありませんし、気持ちも新たに、シンプルな仕上げを目指したものがこちらです。
馬暦は、矢谷左知子が単独でやっておりますので、
ご注文は矢谷までお願いいたします。
草暦は解散いたしましたが、この17年の重なりがあって、まずはこのような形に踏み出してみました。
よろしければお手に取っていただければ幸いです。
最後に
これまで草暦にご厚情を賜りまことにありがとうございました。
ならびに
相棒の石田のりに感謝して
//////////////
馬暦2022
宮古馬カレンダーー収益の一部はミャークヌーマ基金(宮古馬サポート)に寄贈されます
size;
12cm × 14.8cm (たたんだ状態) *開くと、縦は 29.7cmになります。
一部 1200円 送料140円
五部〜 1100円 送料180円
10部〜 1000円 送料360円
30部〜 900円 送料520円
**個人の方でもまとめて割引で購入していただき、販売していただけます。
年末のお小遣いになりますよ。
///////////////
ご注文は
xusa93hina*gmail.com ←*を@に変えてください
矢谷左知子



- 2021/11/12(金) 12:11:25|
- 草暦
-
-
草講座
「馬編」11/28(日)13:00-16:00_________
ー馬意識の彼方へー
この寡黙な生き物の
その息遣い
冬毛をまとったおっきくて温かな体
触れさせてもらう時
からだの奥で扉が開く
草や馬、
人以外の、その他いきものたちの本性と繋がる「場」は
彼らがその存在をもって用意してくれている
彼らそのものが、「場」である
人はいま、その領域と交わることがとても重要であると思います。
人の本性もまた、それに拠ってこそ、元に戻り、
垢を取り去り、磨かれていくのではないでしょうか。
これまで草講座のなかでは、「馬講座」なるものも時折開催していましたが、
実際の馬は、そこには居ませんでした。
今回は雄馬のおっきなヒビキがいっしょ、
ようやくお馬とともに開催できることがうれしいです。
初冬の午後をお馬とご一緒しましょう。
*=*=*=*
【日 時】 11/28(日) 13:00〜16:00くらい
【場 所】 LIFE EVO 草舟からさらに南下 逗子駅からバスで30分ほど。(横須賀市長井 お申し込みの方にご案内します)
【参加費】 3500円
【内 容】 《前半》「馬意識の彼方へ」おはなしと映像 矢谷左知子 哲学的内的アプローチ
《後半》 馬のヒビキくんとの交流 濱田高彦 実践的外的アプローチ
《おわりに》参加者のみなさんとシェアリング
【申込み】 xusa93hina*gmail.com *を@に変えてください
::::::
主催 矢谷左知子 (草舟 on Earth)
協力 濱田高彦 (LIFE EVO) / ヒビキ
後援 一般社団法人EARTH BOOK
***《イベントページはこちら》
https://www.facebook.com/events/4475537325835431/*-*-*-*
当日は、
前半に矢谷が、草や馬がしている仕事のお話、草や馬から学ばせてもらったこと、宮古馬の報告などを映像と共におはなしさせていただきます。
後半はハマーからの実践編、実際にヒビキくんと一緒に散歩したり触れたりすることで、大きな動物の息遣い、温かい体温などを直に感じながら、異種のなかまとの触れ合いの時を持ちます。
ヒビキは何を伝えてくるでしょうか。
最後にみんなでシェアする時間も持ちたいと思います。
*-*-*-*
長い間、野生の草と仕事をしてきた私(矢谷)です。
馬の’う’の字も関係なく、ひたすらに草の日々を送ってきました。
そんななか、
沖縄の宮古島の在来馬、「宮古馬」とのご縁は2012年に始まりました。
宮古島の友人の牧場を訪ねたときからです。
その5年後の2017年、宮古馬の生存の危機となる、宮古島市の施策が決定されようとしたことから、わけもわからず、馬たちを救うための活動を始めることとなり、無謀にも「ミャークヌーマ(宮古馬)宮古馬の会」という名前で全国にSOSを発信続けてきました。
これまで、思ったこともなかった馬との関わり、その渦の中に一気に放り込まれ、
気がついたら毎日毎日馬馬馬、、
2017年から宮古馬のことでは、どれだけの記事を書き、イベントをし、印刷物を作り、走り回ったことでしょうか。
永田町の国会議員さんにまで逢いに行きました。
でも事態は止められず、どんなに絶望し、涙をながし、命を落としていった救えなかった馬たちに許しを乞うたことか、
それだけ苛酷な宮古島の現状があります。(今もなお基は変わっていません)
でも、そのなかで、馬たちからは、とてもおおきなものを受け取りました。
たくさんのことをおそわってきました。
こうして起きている悲しい馬の問題も、実は誰のせいとかではない、ということも馬からおしえてもらったことです。
これはひとりひとりに問われている根幹のことなのではないか、
そんなふうに思うようになりました。
年に数回宮古島に通い、馬まみれになりながら馬の群れの中で過ごしてくるこの数年、
気がつくと、こちらに帰ってきた時に馬ロスになっていました。
そのような時に、近所にヒビキくんが来てくれました。
地域のおいしい農園レストラン「SYOKUYABO 」の無農薬野菜をつくっているハマーこと、濱田高彦さんが、ご自身が以前務めていた乗馬クラブの引退馬を引き取ったのです。
うれしくて、この一年はことあるごとにお世話をさせていただいています。
私はこの10年間、自宅アトリエである「草舟 on Earth」で「草講座」をしてきましたが、
この数年は、時々「馬講座」ともなり、草も馬も同列、同じベースのなかで語らうものとなりました。
草と馬、
草から馬へ
わたしたちの源泉を
揺さぶり
組み換え
光を注ぎ
再生していくもの
前置きが長くなりましたが、
この度、ハマー(浜田高彦さん)の主宰するLIFE EVOの場に於いて、彼とヒビキくんの協力のもと、屋外の草講座特別編をやってみることとなりました。
LIFE EVOは、「馬と農」をテーマに暮らしを創り、さまざまな労働を実体験と共にクリエイトしていく場です。
当日は、
矢谷は、草や馬が見せてくれる世界のお話、馬からおそわったこと、
宮古馬の報告などを映像と共におはなしさせていただきます。
その後、ヒビキのお父さんである浜田さんからの実践編、実際にヒビキくんと一緒に散歩したり触れたりすることで、大きな動物の息遣い、温かい体温などを直に感じながら、異種の大きな生き物との触れ合いの時を持ちます。
最後にみなさんでシェアする時間も持ちたいと思います。
- 2021/11/12(金) 09:48:34|
- 馬
-
-
草暦 十月
「 獣祀る 豺の森 いずこ 」いよいよ2021草暦もクライマックスです。
、、というのは、後半に盛り込んでる想いがずっしりありまして,,,
草暦は2005年から季節ごとの野の草や、素材としての草たちの事情に沿って、植物を中心の七十二候を長年書き記してきましたが、
その間も七十二候の中に登場する動物たちのことが常に気になっていました。
「つばめ至る」「雁かえる」などの言葉を書くときには、
どうしても、その過酷な旅に想いを寄せ、祈りつつ書き込みます。
中でも12月には
「熊 穴に入る(こもる)」
毎年これを記す度に、果たして今のこの国に熊が安心して篭る穴などあるのだろうか、という杞憂を重ねていました。
山の環境と共に、森の崩壊により、冬越しのための木の実などが足りず、お腹をすかせ冬眠も出来ないまま、冬のあいだ里に降りて食糧調達、
ゆえに撃たれ、命を終えていくという現実を知りつつ、なにも出来ていない自分の不甲斐なさに、12月には、毎年熊への祈りを描き続けてきました。
そのうちに私は馬と出会うこととなります。
絶滅を危惧される宮古馬の育成サポートの活動をしていくうちに、草暦もしだいに草から動物よりとなってきました。
そのようなことから、草暦を一緒につくってるのりちゃん(こと石田紀佳)が、七十二候の言葉を動物を表現するものを探してくれるようになってきました。
かわうそ魚を祭る(獺祭)(2/18)
かっこう桑におりる (4/30)
など、それまでにない言葉が増えて、草暦に動物たちが踊るようになります。
そうしてこんどは馬の次にオオカミと結びを得ることとなり、
2021年の草暦は表紙はオオカミ、
本体のなかでは10月にオオカミが登場します。
「獣祀る 豺の森 いずこ」
というのは、
七十二候の
「豺 獣を祀る」(10/23)
を受けて、想いをいたしたことば。
オオカミが仕留めた獣たちを並べているのを、祀りとみたてたもので、二十四節気、霜降の頃にあたります。
冬に向けてオオカミの狩りが力強くなっていくときでもあるでしょう。
そんなオオカミも、もはや姿を現さない存在となりました。
いまでは幻となってしまった、かつてのオオカミの祝祭、
獣を祀っていたであろう森に想いを馳せ、
10月にこの言葉を綴りました。
植物や動物たちが彩ってくれていた草暦も
今年で最終となりましたが、
2021年の草暦は、いよいよこれからが本番、
後半には、野生の生きもの達への滾(たぎ)る祈りをぎゅー、っと込めました。
10月、11月、12月、2022の旧正月までの4枚には、溢れて止まない想いを、
気持ちを抑えて静かに納めてみたつもりです。
動物たちには、あえて抑えないとはみ出してしまうほどの想いがあるので、、
あと少しの枚数の2021年草暦、
後半もどうぞ味わってくださいね。
xusa
矢谷左知子
- 2021/10/29(金) 11:05:07|
- 草暦
-
-

xusaです。
長きに渡り、草暦をご愛顧くださりありがとうございました。
先にmusiさんが書いたように、草暦は終了することとなりました。
かれこれ十数年続けてきた草暦、近年のものは、楮和紙で印刷してくださるところが見つかり、ようやく完成形となったところですが、
それを印刷してくださっていた方が引退されることになり、他の印刷所ではもうあのテイストのものは続けられなく、
今年だけいったんお休みして、次のかたちを探ってまた再開、とも思いましたが、
そもそもの端緒をつけてくれた相棒の石田のりちゃんが、これでおしまいにしよう、と言うことになり、
私もそうだね、と。
最後は実にすぱん、と幕引きとなりました。
今年もたのしみにしてくださっていたとしたら、ほんとうに申し訳ありません。
2021年は、ついにオオカミがやってきました。
私の中で今年はオオカミイヤーなのです。
長い草との信頼関係からはじまった草暦ですが、
私のなかに、それに加えて、海がやってきて、すっかり海に心身溶け込み、或る年は海暦となり、
その上にこんどは馬がやってきて、これはもう、不二であり、同一体でもある存在になり、馬が暦に登場、
いや、自分が一番びっくりしてるのです。
そして、去年、2020年に今度はオオカミが降りてきました。
2021年版の原稿を描いている間じゅう、オオカミが伴走をしてくれていたのです。
今年、表紙はついにオオカミとなりました。
原稿が仕上がった時、ある意味、ここが草暦の来し方の頂点、と漠然と想いました。
これから先は未知の領域、と。
そこにオオカミが寄り添って、その先の灯明を授けてくれているのだな、と。
ですので、そのあとに、印刷所からもう出来ない、というお話を聞いた時には、残念ではありましたが、
一方で、実にきれいな流れのように感じることが出来ました。
それもあって、草暦はここに終わります。
これまでの草暦の経緯のことも、このあと、少しずつまとめてここに書かせていただきたいと想っていますので、またお訪ねくださればうれしいです。
あ、最後になりましたが、
2021年版は、ひどいミスをしてしまいました。
暦にあるまじき、不正確さ
ご迷惑をおかけいたし、ほんとうにほんとうに申し訳ありませんでした。
重ねてお詫びいたします。
そしてありがとうございました。
いつも全面的にバックアップしてくれていた石田のりちゃんにも感謝いたします。
つづく
xusa
矢谷左知子
- 2021/10/03(日) 14:31:23|
- 草暦
-
-
2022年の草暦をお待ちいただいていたみなさま
草暦はさようならします。
一番の理由は、和紙屋さんである印刷屋さんができなくなったからです。
楮の入った紙を使って、折り本にもできるように断裁も特殊なことをしていただいていました。
和紙屋さんにもいろんな理由があるのでしょうが、社長さんは今後の人生を和紙の研究に邁進されるとのことです。
これまで草暦を見守ってお使いいただいてきたみなさま、
ありがとうございました。
これからも、草も虫もすべてのいのちがゆたかに、生きて死んで巡っていく道筋にそいたいと願っています。
オオカミの声をききながら。
ありがとうございました。
musi
草暦企画 石田紀佳
○
草暦は馬暦になってあたらしい形に生まれかわろうとしています。
詳細は矢谷左知子からお知らせいたします。

- 2021/09/30(木) 10:02:35|
- 草暦
-
-
草暦 九月
「葛の花 芳し」
葛糸つくりの秋この初秋はずっと葛の糸を洗っている
夏の終わりになって、ようやく葛の採集地に巡りあい、育ち具合を見計らいながら、少しずつ採取を続け、
持ち帰っては、草の室で一週間ほどの発酵、
そのあとの洗いはひたすらのもくもく仕事となる
発酵の合間には、次の採取に向う
ズルズルと長くて絡まった葛の蔓を解きながら、採り集める炎天下の作業はなかなかヘビー
お世話に行ってる馬場で旺盛に伸び盛る葛をいただく時は、
不要となる葉っぱ部分はお馬にあげる
かなり好きみたい
馬のそばで作業してると、はよくれ、と鼻でつきあげられるのがうれしい
そうして刈り取っては、始末し、ロープ状にまとめて鍋でぐつぐつ煮てから、茅の草の中で発酵、洗い、
その合間にまた採取、というローテーションがしばらく延々と続く
繊維になるまでは、発酵後のひたすらの水洗いの繰り返し
何度も水を替えて、粗洗いから仕上げ洗いまで、
指先の感度を高めながら洗い方を変えていく
日が暮れるまで、ひたすらの洗い作業のうちには、
身も心も洗い晒され、
疲れるというよりは、その循環の中に身体も巡りを合わせるよう、
すっかり自分の詰まりも消えて、清浄なここちとなる
葛の白は神々しい。
この「白」のことについては、長年の思いがある
またあらためて書いてみたい。
葛の花はもう咲いているだろうか
その色から連想されるとうりの香りがする花、
甘酸っぱいけど、爽やかだ
鬱蒼とした薮のなかで、葛の花の赤紫色は、ひと際天に伸びてまっすぐに立つ
今日は仲秋の名月
xusa
矢谷左知子

- 2021/09/21(火) 14:36:47|
- 草暦
-
-
連載している「名前のない新聞」最新号の記事になります。
”馬意識”という造語をつくってみましたが、このことはまたこれからも深めていけたら、と想っています、
草文明の日々 その十七

名前のない新聞 9.10月号 隔月発刊
馬意識の彼方へ
矢谷左知子
オリンピックは観ることもなく、いつのまにか終わっていたという感じだが、
この数年の馬とのご縁から、馬術競技というものに今回初めて目を向けることとなった。
まずもって、競技の馬の調達はどうするの?という疑問から始まり、各選手はそれぞれの自馬を開催地まで運んでくるのがわかり、
それはまあ当然のこと、でも素人からするとそんなことまでしなくても、という感覚が正直なところで、
その時点で、もう私としてはなんだかダメな世界となった。
今回は世界から330頭もの馬が飛行機で空を飛んではるばる日本にやってきたのだそうだ。
飛行機の貨物から馬が出てくる動画を見て、なんとも言えない気持ちになる。
自転車やサーフボードではないのだぞ、と思う私がおかしいのか。
当事者たちはそうは思わないのだろうか、と。
馬という生き物は、古来より耕作や運搬での使役動物の筆頭として、人間のために働き扶けてきてくれた。
なかでも特に大きな働きをしたのは戦争である。
これは他の生き物では代わることの出来ないこと、馬はそういう苛酷な宿命を背負っている特異な存在と言える。
平和を象徴し世界中で神馬として神の遣いでもある馬が、その真逆の死闘の場で傷つきながら人の為に命を落としてきた。
実際に馬と関わってみて、馬がいかに繊細な生き物で、ちょっとした物音も怖れ逃げ惑うものかを知り、
安心してやすらぐ環境をいかに愛しているかを知ると、その運命がやるせない。
私が今ご縁のある南の島の馬たちも琉球王朝時代、モンゴルとの戦いのために幾千もが明国に輸出されていた。
有史以来何千年もの間、そんなやさしい馬たちが戦争に駆り出されてきたことを思う度に、胸が痛くなるのだが、
今回馬術競技をざっと見ただけで同じくいたたまれず、早々にリタイアしてしまった。
馬はその脚を一本でも故障すれば命取りとなる。
私自身、敬愛する仲間であった馬を後ろ脚の骨折で失っている。
たった一本足を折ったくらいでなぜその命を助けることができないのか、無念でならない。
でもそこが他の生き物と決定的に違う造りをした馬の不条理なのである。
それがわかっていてなお、障害という競技は、馬が数々に仕掛けられた障害物を跳んで競わせることをするのだ。
もちろん人と馬とのやりとりの一つの完成を目指すのは理解できるが、
一瞬のミスでその馬は確実に再起不能となり死に直結する、
そんな危ういことをなぜわざわざ世界中で?というのが素直な気持ちであり、
こんなことを許してはいけないとまで思っていた矢先、案の定スイスの馬が障害の着地で失敗し脚を骨折、
その日のうちに殺処分という悲しいニュースが飛び込んできた。
はるばる冷涼なスイスから飛行機に乗せられ、長旅のあとの酷暑の日本は苦しかっただろう。
馬にとっては失敗すればそこまでの命、このような競技にいったいなんの意味があるのだろうかと思う。
競馬もしかり。
引退馬や、脚を折った現役馬は殺処分になるのだが、それ以前に残酷な現実があることは知られていない。
競走馬の世界では毎年7000頭以上の仔馬を生産し、戦士として生き残るのはごく一握り、
そのほとんどの仔馬は処分されるのが実際だと聞く。
毎年それだけの数の仔馬が生まれてはすぐに命を終える。
累々の馬の屍の上に成り立っているのが競馬という産業である。
さて、最後になったが、ここからが本題。
このような馬をめぐる現状に憤り、馬術も競馬も廃止したい、など息まいてしまう一方で、
実は馬の通訳さんから馬たちの気持ちを聴く機会があり、それ以来私の中では大きな命題が出来てしまった。
すなわち
馬たちはもちろん悲しい、でも我が身や群れに起こるすべてを受け入れ、命をかけて全うしている。
自分に乗る人間との約束のためだけに恐ろしい戦場を駆け抜け、競走馬として走る。
そして人間のことを思いやっている、自分たちは大丈夫です、あなたたちはどうですか、と。
ただ、それだけ。
南の島の悲惨な境遇の馬たちもしかり。
馬のことを思って憂い怒り悲嘆にくれる人間のことを気づかっている、と。
それを聴かされてからは、馬からは人知を超えた遥かなる地平を見せてもらったと思っている。
もしかしたら馬にとっては人と関わるという諦めを受け入れた時に、
それが戦争だろうと例えばホースセラピーだろうと、そこには差はないのかもしれない。
ではひとはどう関わっていくのか、
生きもの達との共生とは、それはいったいどういうことなのか、ずっと考えている。
答えは出ない。
自分の矮小な意識レベルを何段階もこえた馬意識に導いてもらいながら、まだまだまったく馬には追いつけないでいる。
でもそこが私の、心満ち、ざわめく本題である。
- 2021/09/13(月) 21:07:07|
- 馬
-
-
草暦8月 「苧麻 葛 草の糸つくる」

8月もあと一日となりました
そんな日に、8月の草暦のお話しをば、、
草暦8月は、私の長年の本業、草仕事を記しています
30年ほど前に始まった「草の布」の制作も
この十数年はピタッと停止
ある日突然に終了させてしまいました
でも草の糸つくりは、毎年少しずつ続けています
かつて、草の布の作家活動をしていたころは、
ひと夏に何百本もの野生の苧麻を探して刈り取り
同時に葛も同じく探しに行くところから始まりました
苧麻も葛も、夏しか地上に存在しません。
そのため夏の二ヶ月ほどの間に、素材を採取し、糸として仕上げておきます
炎天下の真夏の採集は辛くもあるのですが、
それがただの草刈りでなく
刈り取った草の次の命の移しかえでもあるその作業は
決して疲れるものでもなく
不思議と、身体が次から次へと動くのでした
この夏も、少しですが、苧麻と葛の糸つくりをしています
なかなか周囲には生えているところがなく
いいものはお目にかかりませんが
そこに在るものだけをいただき
この季節に生まれてきた野の草から糸をつくります
たいへんですが
気持ちの清々する、よい労働です
いつかまた「草の布」を織る日が来るでしょうか、、
それは本人にもわかりません
xusa
矢谷左知子

- 2021/08/30(月) 21:30:56|
- 草暦
-
-

一応代表を務める、EARTH BOOK一般社団法人、
私が一人で活動している「ミャークヌーマ宮古馬の会」のサポートを主たる目的の一つとして始まりました。
まあ、活動としてはなかなか難しく遅々としておりますが、この3月より動画の制作配信を始めました。
やはりこうしたクリエイションが一番向いています。
こうした動画を配信しながら、EARTH BOOKというものの仕事を浮かび上がらせていければと想います。
二年後には馬の映画を創りたいという妄想も持っております。
動画のほうは、この3月、偶然にも満月の日に第一作目 《焼き杭編》を、
そして奇しくも二ヶ月後の満月の5/26に《水脈編》を公開することが出来ました。
動画の制作編集はすべて私ひとりでやっていますので、まったくのど素人動画、
直感だけで編集していますので、そのへんはご容赦いただけると幸いです。
地味な内容ですが、実に底深く、言葉選びも難航、、
作っている本人でも立ち止まってしまうことばかりの二ヶ月でした。
施された水脈整備は、深淵過ぎてなかなか言葉で伝えるのが難しく、
こうした工法ひとつ取っても、本来、人が施す土木仕事というものの意味の壮大さに、しばし言葉を失い佇んでしまいます。
それぞれの方のこころに一つでもドロップが落ちたらいいな、と、
内容の説明は最小限ですが、味わっていただけたらうれしく、ご高覧いただけたら幸いです。
人のまことの仕事
大地の呼吸を調える 《水脈編》https://www.youtube.com/watch?v=wRVEzjecvXMー大地の水脈と わたしたちの身体のめぐりは 呼応するー
《 水脈編 》
Episode: Water Vein
人のまことの仕事|プロジェクト Humans of Nature Project
Series 1.大地の呼吸を調える Restoring flows inside the Earth
____________________________
シリーズ 1. 大地の呼吸を調える
《 水脈編 》
水脈整備;
地下水脈に導く
浸透がうまくいかない箇所の
淀んだ水を地下水脈に繋ぎなおし
自ずから浸み透るよう
有機物や菌類の力を借り
迷った水を
風とともに巡らせていく
川風が吹くように
朝靄が沸き立つように
ボトルに水と空気が入るように
風と水は対をなす
風、水を調える
*
きょうもどこかで淡々と為されている、力強く深淵な、「人のまことの仕事」の記録映像詩
人のまこと(真)の仕事、とはなんでしょうか。
このシリーズは、それを自問しつつ、’「EARTH BOOK」の1頁に連なる仕事' を為している人々を取り上げ、映像詩のかたちに記録することで浮かび上がらせようとする試みです。
ーRestoring flows inside the Earth ー
/////// EARTH BOOK ////////
一般社団法人 EARTH BOOK
https://www.earth-book.com
- 2021/05/27(木) 17:34:25|
- xusaのしごと
-
-
草暦2021
2021年5月
2022年1.2月
の曜日にずれがありました。
草暦をお買い求めの方には大変ご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。
申し訳ございません。
なお、訂正シールをご用意しております。
お要り用の方はご一報くださいませ。
お送りさせていただきます。
xusa93hina*gmail.com
(*を@に変えてください)
矢谷左知子
*なお、今回のミスには校正さんは関係ありません。校正後の矢谷のミスでした。各方面に重ねてお詫び申し上げます。
- 2021/05/01(土) 11:40:02|
- 草暦
-
-
<< 参加者募集 >>= 水脈整備 ライブトーク(軽作業も予定) =
at LIFE EVO (馬の居る農園)相模湾側の横須賀の田園地帯の中、馬の居る農園、LIFE EVO share farm & survival field がオープンします。
そこの主、ハマー こと浜田 高彦さんはショクヤボの農園部門担当。
私は今ハマーが引き取った引退馬、ヒビキくんのお世話に時々通っています。
今はLIFE EVO開校に向けて、その場を調えていく作業中ですが、人工的な造成地のため、さまざまな課題があります。
そのひとつに水の治め方があるのですが、この度、土地の蘇生の仕事を創造的に展開している後藤翔太くん とハマー をお繋ぎし、そこの水脈整備をしてもらうこととなりました。
大好きな友人である翔太くん、彼の現場への取り組みの姿にはいつも心動かされます。
自らとの境がないような、土を触れるときの手つき、現場に向き合った時にわき出る言葉、所作、それらひとつひとつは触感と実感に満ちて、わくわくします。
先日youtubeにアップした動画の登場人物でもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=H7-ZKmH_DMI&t=69sLIFE EVOのハマーはこれから「馬と農」を掲げて、今回の現場でシェア・ファームとサバイバル・フィールドとして畑や馬耕をしつつ、年間を通じて様々な講座を受けることのできる学校をこの春より開校します。応援したいと思います。
それに先がけ、まずは当日、水脈整備の途中で、現場を見ていただきながら、施されたことをシェアしつつ、お話の時間を設けます。
流れで少し作業もするかもしれません。
手を動かしたい方はスコップなどもご持参ください。
---
日 時; 2021年4月18日(日曜日) 13:00〜16:00頃
場 所: 横須賀市長坂 (お申込みの方にご案内します)
参加費: 2.500円雨天も実施
____
《 水脈整備 ライブトーク 現場を見ながら実践形式のお話会 》おはなし :. 後藤翔太 アースケアテイカー/もりのて代表/大地の再生東海支部
聴き手 : 濱田高彦 LIFE EVO代表/ショクヤボ畑部長
お手伝い. : 矢谷左知子 一般社団法人EARTH BOOK代表/ミャークヌーマ宮古馬の会/草作家
*詳細はもうすぐLIFE EVOからもリリースされます。
*内容はその時により流動的になります。
*汚れてもかまわない格好でお越しください。
**
お申し込みはメールで以下まで
LIFE EVO
lifeevo2472@gmail.com(濱田)
主催
LIFE EVO
一般社団法人EARTH BOOK


xusa
矢谷左知子
- 2021/04/06(火) 19:43:04|
- xusaのしごと
-
-

宮古馬のサポートを地味に続けていくなかで、EARTH BOOK(一般社団法人)が立ち上がり、その活動をしています。
2020年はお休みしていましたが、2021年から少しずつ動き始めています。
その主軸の一つとなる「人のまことの仕事」という概念。
それをこの度、映像という表現手段で表わしてみた、第一弾です。
動画編集などこれまで未知で、なにひとつわからずの私でしたが、独学で、一から始め、なんと2週間という短期間で一本仕上げて配信までしてしまうという荒技に出ました。
急いだわけではなかったのですが、夢中で夜更かし、気がついたらあっという間に仕上がっていました。
登場人物も、音楽も撮影も、全て周りの友人たちですが、なんと贅沢な顔ぶれ、
彼らの存在のおかげで、ひとつの世界がすぐに出来上がりました。
映像の中の彼らの動きも美しく、説明など要らない、とあえて説明を省きました。
そのほうが言葉にならないところに潜むものが伝わると想いました。

今後シリーズで配信していく予定です。
ご高覧ください。
人のまことの仕事
焼き杭編
https://www.youtube.com/watch?v=H7-ZKmH_DMI&t=69sEARTH BOOKのページはこちら
https://www.youtube.com/channel/UChdUb7Bnlx2qTeO7rwLevvQxusa
矢谷左知子
- 2021/04/05(月) 17:25:59|
- xusaのしごと
-
-


自生のシャガが満開です。
数年前に突然やってきて、以来、うちに住み着いてくれています。
いつかまたどこかに行ってしまうかな。。
緑が茂ってきて、トンネルになってくれました。
これも自生の野いばらや山の木々たちのしわざです。
xusa

- 2021/04/03(土) 20:05:18|
- 草舟 on Earth
-
-


乙女椿が満開です。
左巻きの銀河の渦に吸い込まれそうになります
xusa
- 2021/04/03(土) 20:04:19|
- 草舟 on Earth
-
-
「うぐいす鳴く」 ケキョケキョ、、
まだ覚めやらぬ寝床の中で、覚束ない鳥の声、、
えっと何だっけ、この声は、、
寝ぼけた頭で夢見心地に自問
と、ウグイスだったことに気づき、いきなり目が覚めました。
今年初、ウグイスの初鳴き。
いつもの年は、ホーー、、という小さな囀りからの練習が始まるのに
今年はいきなり「鶯の谷渡り」と謂われる少しけたたましい声の幕開け。
それにしても春まだ浅き日のウグイスの透明な鳴き声は、なんというしあわせな音源でしょうか。
うっとりします。
朝、ウグイスの声で目が覚めるこれからの季節、至福のシーズンです。
そして今日、七十二候では
「うぐいす鳴く」
神奈川の海辺ではどんぴしゃでした。
xusa
矢谷左知子

- 2021/02/08(月) 22:31:31|
- 草暦
-
-
2021年1月23日土曜日 11:00〜、葉の園さんにて講座、4回目のオンライン講座をいたします。
録画送付もしていただけます。

2月3日は立春。旧暦では一年のはじまりです。
その立春にむかう今回は、「そもそも旧暦、二十四節気七十二候って何? 今の暮らしにどう関わってくるの?」 ということからやさしくお話いたします。
そして、冬のあいだにためこんだあれこれを、すっきりと出していくための智慧を、この旧暦の年末に用意しましょう。
新春の心身にリセットするために!
ヨモギとビワは、自然療法の基本の基本。
どこにでもある植物だからこそ、奥の深い、ずっとつきあっていく賢者の植物。
ヨモギは夏至に摘んだもの、ビワ葉はとりたてをお送りいたします。
詳細はこちらをご覧下さい→佳いお年をお迎えくださいませ。
石田紀佳
- 2020/12/30(水) 17:55:22|
- musiの仕事
-
-

冬至まえ
最後の世界の陽を受けて
庭で火を焚いている
あしたからは新しい世界
xusa
矢谷左知子
- 2020/12/20(日) 17:02:56|
- xusa草暮らし
-
-
【草暦 エピソード 1】草の紐草暦は最後に’草の紐’で束ねてようやく息が吹き込まれます。
草の紐は、夏の間に採取して繊維としておいた、すぐそばに生えていてくれる野生の草たちからつくります。
糸としてはまるで不ぞろいな草の繊維を裂いて、2.3本撚り合わせて紐をつくり、それで綴じる、なんとまあ、効率の悪いこと。。
暦、というお届けに期限がありすぎな商品なのに、紐つけにたくさんの時間がかかってしまい、お待たせをしてしまいます。
でも既製の買ってきた紐ではどうしてもだめなのです。
自らの手で採取し、繊維にした野生の草、
私の長年の大事な同志たちが最後の仕上げをしてくれて、ようやく草暦に命が宿るような気がします。
xusa、musiともに、それぞれがこの夏に採取した草の紐たちが、今せっせとそれぞれの家で結ばれて旅立ちます。
xusa

- 2020/11/23(月) 16:27:28|
- 草暦
-
-

草暦2021によせて xusa(
矢谷左知子)
草暦2021は狼が静かに降りてきました。
進む行き先はますます、生命潮流の源流に向かっていくようです。
この数年は馬が降りてきて、大きな道標として行き先を照してくれています。
その道標をたがわないように、歩みを進めてきました。
そして、2020年、そこに狼が加わりました。
気がついたら横に控えて居てくれた、という感じです。
やっと気がついた?ずっといたんだけどね、と。
今回の草暦の制作期間、ずっと横に着いて守護してくれていたような心地でした。
この数年、宮古島の在来馬、宮古馬の保護育成のサポートの動き
をなぜか先頭に立ってつくっていく流れの中にいます。
未だ模索ばかりですが。
人の営みにより、絶滅を危惧されるまでに至った「宮古馬」と、
同じく人の思惑によって殲滅させられた「狼」。
捕食するものとされるもの、ではありますが、対、人、で同じ運命をたどっています。
そうした彼らからの、それでも人に対しての力強いサポートを、
目には見えずとも、どこかで感じながら、人とそれ以外の命たち
のほんとうの共生とは、ではどういうことなのか、
想いを深めながらの月日を過ごしつつ
彼らに向けて年に一度、この暦のなかで、訊 (たず)ね、訊(き)く。
一年を生きものたちとの呼応のなかで過ごしていきながら、
馬や狼、山のもの、海のものたちが伝えてくれてるものを、ひとつひとつ受け取り、
暦のなかに落としていく、草暦はいつのまにか、そのようなものとなりました。
使ってくださる人も、そこにまた書き込み、おひとりおひとりが、
その先を進めていってくださるといいなあと、
こころより想います。

- 2020/11/11(水) 11:17:48|
- 草暦
-
-

印刷、断裁ができてきました。
これから紐付けや折りなどをして、
11月中旬から、ご注文順にお送りできます。
狼の銀色、薄墨色です。
2021年1月〜2022年の2月(いわゆる旧暦元旦)までのカレンダーサイズ 96mm X 210mm
色 水色
紙質 マニラ麻とパルプと楮様繊維(比率は企業秘密とのこと)
吊り下げ仕様 定価1500円
まとめ割引
5部以上 1300円
10部以上 8掛け 1200円
30部以上 7掛け 1000円
折り本仕様 定価 1700円
まとめ割引
5部以上 9掛け 1500円
※折りについては10部以上割り引きはありません。
ご注文承ります。
矢谷左知子 xusa93hinaアット驚くgmail.com
石田紀佳 lamudaアット驚くya2.so-net.ne.jp 電話03-3485-2464 ファックス03-3468-4014
いずれも、アット驚く、を@に変えてくださいね。
◉メールのタイトルに「2021草暦注文」としてください。
◉「草木と手仕事」「魔女入門 暮らしを楽しくする七十二候の手仕事」「藍から青へ 自然の産物と手工芸」は、暦といっしょにお送りすることができます。(石田からのご送付となります)
◉矢谷や石田の出るイベントなどにも持っていきますね〜
- 2020/11/06(金) 14:35:30|
- 草暦
-
-
前のページ 次のページ